今も”ロボコン”継続中!(3) — 白久レイエス樹、阿嘉倫大、中野桂樹
阿嘉
ただ地区大会で最速記録を出していても、全国大会で優勝できるという自信があるわけではなかった。勝ち進むにつれて、本当に早い学校とあたるので。決勝もすごく怪しかったんです。結果として自分たちのチームが2秒差で勝ったんですけど、それまでに出したことのない記録でした。
レイエス
しかも打ち合わせと違うことを操縦者がやったんです。
阿嘉
ロボットがハードルを越える課題があったんですけど、リトライ判定をされないために、一回ハードル手前で停止する、と決めていたんです。それを決勝だけ操縦者が自分の判断で停止しないで連続してロボットを動かした。
レイエス
それまで「リーダーの言うことは絶対だ」と頑張ってマネジメントして、きっちりやってきたのに、決勝で彼がやらかした(笑)まあその短縮分の時間のおかげで勝てたんですけど。チームのなかでも、終わった後、あれはどうだったんだ・・・と議論になったね。
阿嘉
操縦者もメンタルがタフじゃないとこんなこと、できないよね。
中野
僕は一回も操縦者やったことないけど、操縦者はできないなあ。
阿嘉
うれしかったですよね。肩の荷が下りたっていうか。ただ応援席よりフィールド近くの当事者たちの方が冷静だったと思う。真剣にフィールドを見つめている感じ。
中野
僕は応援席にいたのではしゃいでいたけど。
レイエス
優勝に対する価値観も優勝する前と後では変わりました。1度優勝したら次は優勝を目指さないだろうなって、少なくとも僕はそう感じた。全国優勝に向かって活動したことはすごいいい思い出だし、優勝できたこともすごくよかった。ただ、もしまたロボコンに出るとしたら次は優勝を目指しては作らないだろうなって。終わった後、そんなことを身内で話したりしたね。
レイエス
中野はまだ現役で、自分は専攻科に進学していたんですが、阿嘉の進路が決まったときに、彼から「なんかやりたい」って話があって。
阿嘉
ここまでハードにロボコンやっていたら、他のことをやってもつまんないんです。だからロボコンが終わって、卒研が始まってもそんなに楽しくない。平和だけど、ぴりぴりした感じがなくて。またおもしろいことやりたいな、って思って
レイエス
家にそんな内容の手紙が来ました。「毎日がつまらない。一緒になんかやりたいけど、何をやりたいかは分からない」と。なんだこれ、って(笑)
阿嘉
最初はロボットじゃなくてもなんでもよかったんです。機械とか取り払って新しいことをしよう!と色々試しました。
レイエス
お金儲けやビジネスちっくなことをしてみよう、とか。阿嘉がけっこう本でビジネスに興味があったので。でもあんまりうまくいかな・・・うまくいかなかったわけでは・・・いや、うまくいかなかったな(笑)
人を巻き込むゲームなんかを考えて、チラシを配ったりしたんですけど。ノルマを決めて 人ごみの中に行って「1人何枚配ってこい、30分後に集合」って。で、30分後に帰ってくるんですけど。確か僕が5枚くらい・・・おまえ・・・0?
阿嘉
配ったよ!2,3枚くらいだったけど・・・とにかくぼろぼろで。あんまり思い出したくない(笑)
レイエス
慣れないことをやって、何もうまくいかなくて、とぼとぼ学校に戻って。これからどうしようって。
阿嘉
で、最終的にはものづくりをやろうと。結局何かつくりたいよねって。
レイエス
僕が覚えているのは、チラシ配りをした後、学校の3階に行って、ホワイトボードを囲んで、3人でアイデア出しをしたんです。色々出たんですけど、そのときに阿嘉だったかな、机の上に立って「これだ!」ってガッツポーズをとったんです。こういうでっかいロボットができたらかっこいいだろう、って。なんか謎の説得力がありました(笑)
阿嘉
単純に楽しそうだったから。絶対楽しいじゃないですか。人型で、人よりも一回り大きいものが動くのは。実際それが作れるって考えたら、絶対おもしろいって思ったんです。
巨大ロボットの構想って、実用で出されているのは少ないけれど、映画では当たり前に出てくるじゃないですか。漫画やアニメで誰しも心の中に持っているイメージなんですよ。そういう意味でも実現できたら絶対おもしろいだろうなって。
ロボコンをやっているときにも、「拡大を行うリンク機構」という構想はあったんです。単純に人に対して拡大のリンクをとりつければ、巨大ロボットを作れるんじゃないかと。2倍くらいだったら負荷も2倍だし、ちょっと身体を鍛えれば動かせるんじゃないかって。簡単に作れそうだな、ということでこの機会に作ってみようと。
阿嘉
雰囲気はロボコンとは全然違いました。ロボコンに出場していた時は、与えられた課題・決められたルールの中でいかに早くゴールできるかを競っていたわけで。
中野
作るものが決まっているし、好きなものを設計するわけじゃないもんね。
阿嘉
そうではなくて、今度は自分たちが作りたいものを作ろうって。
レイエス
会社といえど、あのときより自由だよね。
戦いではないし、勝敗もないので、わきあいあいと。
ロボット製作以外の時間は自分が好きな映画やアニメのシーンを繰り返し見せ合ったりするんです。
「これいいよ」って5秒くらいのシーンを、みんなを集めて10回くらい見せる。
中野
つい先日もそれやったね。
レイエス
同じシーンを何回も再生して。
そういうことをけっこう日常的に、お互いに気になるものを見せ合う。
阿嘉
「スケルトニクス」については、作るのが楽しいのでそこから先のことは特に考えていなかったのですが、人に見てもらうのもいいなと。だから8月にプロジェクトが立ち上がったんですけど、3月前に何かしら動画の作品としてまとめてネットにアップロードする、ということをゴールにしました。
レイエス
スケルトニクスの次のモデル「EXONNECS」(エグゾネス)の開発です。車並みのスピードで街中を歩いたり走ったりできる仕様です。まだ基礎開発レベルですが、なんらかの形で出すつもりです!
中野
もう具体的にスケジュールも組んであります。
阿嘉
単純に作りたいロボットを作っていくだけだと思います。流行りなのかもしれないけど、今、ロボットに対して注目がありますよね。たとえば介護用とか救助ロボットの話って必ず出てくる。でも僕らは「こういう風に役に立つ」っていう実用的なロボットより、「こういうことできたらかっこいいよね」みたいな、夢に見たようなロボットを作りたいと思っているんです。
なんかかっこいいとか楽しいって理由がないじゃないですか。直感で見れば分かる。そういうロボットを作っていきたいです。
レイエス
阿嘉がロボットのことを言ったから・・・じゃあ僕は生き方を。ベンチャーって理屈で考えれば考えるほどやるべきじゃない。絶対儲からないし、失敗する。お勧めはできないんです。
ただ改めて生き方を考えるとー。何がリスクで、何が幸せで、何をしたいのかって、それって自分次第じゃないですか。そういうことを考えると、起業も有りかなって。
なんとなく、皆がこっちがいいって言っているからやる、というのではなくて、自分たちなりに価値を見極めながら前へ進みたい。うちのチームはそういう考え方がしっかりしているチームだと思うので、今後もそこをやっていきたいです。
中野
僕はものづくりや技術が好きで、けっこう色々見るんですけど、世の技術の発展を見ているとイライラするんです。
阿嘉
(笑)
中野
アポロ計画がはじまったときって月の表面が液体か固体かも分かってない。そんな時代に・・・40年以上も前に人は月まで行けたんです。そこから科学と技術は滅茶苦茶進んでいるのに、できるプロダクトは生活の中にあるものばかりで、”ヤバい”プロダクトが出てこないのが、すごくまどろっこしくて。
阿嘉
今ならできる、ってことたくさんあるよね。
中野
本当に作りたいものが作れるはずなのに、なんで作れていないんだろうって。車が空を飛ぶことだって今の技術をかき集めてやろうと思えば作れるはずだと思うんです。数十年前の鉄腕アトムとかを描いた人たちが今の技術を見たら、もっとすごいものが発想できるはずなんです。今の技術を集約させて、皆が夢に見たようなロボットを形にしていきたいですね。
3回に渡ってお送りしました、沖縄高専OBの言葉、いかがだったでしょうか。今後もスケルトニクスは「エグゾネス」の開発、3月には海外のトレードショー(※)に出展するなど、 活動の場を広げていくとのこと。新作ロボットの完成を楽しみにしています!
※ SXSW Trade Show http://sxsw.com/ March 9th-12th Austin, TX, United States
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